「今、製造現場は」
横田製作所
500種を完全受注生産
顧客にキメ細かく対応
「量より質」を社是にする企業は多いが、横田製作所ほどその言葉が当てはまるところはないだろう。同社は受注から鋳造、切削、組み立て、販売までのポンプ・バルブ・チェッキ弁の一貫メーカー。すべて受注生産で、大規模な生産ラインや在庫倉庫を持たない。
「国内にポンプやバルブを製造する大企業は山ほどある。しかし、うちのような中小企業が生き残っていくためには多品種少量生産体制を敷いて独自技術を追求し、顧客の細かいニーズにこたえるしかない」と、自信に満ちた表情で横田博社長は話す。水族館や発電所向けに海水をくみ上げてもさびないステンレスを使ったポンプや、泡が混入した液体や泥状の物質を揚水するポンプを開発するなど、まさに「かゆいところに手が届く」ポンプメーカーとして異彩を放っている。毎日
500種類近い製品を製造しているが「一つとして同じ物はない」(三浦眞理夫専務)という。
生産体制も独自だ。製造に携わる従業員を、一定の期間ごとに鋳造、切削、組み立て、試験部門へと配置転換する。これが横田名物の、すべての製造工程を経験できる「ジョブ・ローテーション制度」だ。中途半端な技術が身につくだけ、との意見もあるが、横田社長は「各工程ごとに確実な技術教育を施している。私が目指すのは製造体制全般を見わたせて、しかも専門的な技術を身につけた『ゼネラル・スペシャリスト』だ」と反論する。
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