[ご提案]中型ケミカルタンカーの船底残液の吸上げに ....... デッキ上に設置できるビルジポンプ
中型ケミカルタンカーにおいて、化学液を荷役したりタンクを洗浄する際には、最後にタンクの底に残った化学液や洗浄液をきれいに底ざらえして排出する必要があります。この底ざらえ作業に用いられるのが、ビルジポンプです。(ストローポンプとも呼ばれています。)
中型ケミカルタンカーのビルジポンプとしては、一般的にポータブル型の水中ポンプが使われていますが、タンク底へのポンプの上げ降ろし作業が面倒ですし、有毒な液や揮発性液が多いケミカルタンカーの場合は作業に危険を伴うこともあります。
従って、作業性・安全性を考えると、ポンプはデッキ上に設置して吸上げる方がはるかに望ましいのですが、吸上げ高さが高い上に、船の揺れなどによって大量の空気が混入する可能性があるので、一般のポンプで吸上げようとしても揚水量低下や揚水中断を起こしてしまうという問題があり、実現には至っていませんでした。
これらの問題を全て解決して、デッキ上からの吸上げを可能にしたのが、ヨコタのカスケードポンプ UTX 型を用いた「ビルジポンプシステム」です。
下の図のように、ヨコタのビルジポンプシステムはデッキ上に設置しても全く支障なく、平気で連続排気しながらさらえ運転を続けて、ほとんど最後の一滴まで吸上げることができます。
ヨコタ ビルジポンプシステムの配置
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デッキ上に設置できます。
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作業効率が大幅に改善されます。
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安全です。
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メンテナンスが容易で経済的です。
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ヨコタ ビルジポンプシステムの仕組み
もともとヨコタのカスケードポンプ UTX 型は、揚水中に空気の混入があっても排気しながら吸上げ運転を継続できる、強力な自吸力を備えています。
しかし、ケミカルタンカーでのさらえ運転(ストリッピング)においては、
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船の揺れによって液面が揺れて空気を大量に吸い込む場合がある
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タンクを切替えて荷役をするためには吸込配管が長くなる
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という、通常よりはるかに厳しい条件下でも迅速に吸上げできることが要求されます。
そこで、この強力な自吸力のあるカスケードポンプ UTX 型を主ポンプとして用い、それに抽気ポンプ(真空ポンプ)を付加して排気能力を更にパワーアップし、自吸時間を短縮しています。そして、主ポンプ手前に設けられた真空タンクとフロートバルブの働きによって、揚液が抽気ポンプに侵入するのを防ぐようにしています。
このビルジポンプシステムは、吸込配管が山形配管でも長大配管でも自吸できますので、上の図のように1台のポンプから各タンクに分岐配管して、各タンクのバルブを開閉することによって、全てのタンクの底ざらえや洗浄を順番に効率的に行うことができます。
造船所ドックにおける実証試験の様子(使用液:水)
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船上配管を模した吸込配管レイアウト
液面 (A) から最頂部 (B) までの吸上げ高さ:8.5m
最頂部 (B) からポンプ (C) までの水平距離:50m
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このように、実際の船上の配管と同じレイアウトの配管で行った実証試験において、8.5m(液比重 1.0 の場合)の高さでも楽に吸上げることが実証されています。
従って、デッキからタンク底までの深さが 8.5m(液比重 1.0 の場合)以内の中型タンカーであれば、このビルジポンプシステムを導入することによって荷役作業を大幅に改善することができます。
なお、ケミカルカーゴ本体の荷役のためには、同じくデッキ上に設置して吸上げができるヨコタ超自吸ポンプ UPS 型があります。詳細は、特集記事「タンカー荷役」をご覧ください。 |