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「農業かんがい給水」

小さいタンクでも激しい断続運転が無い‥‥ヨコタ ミニタンク式自動取水給水装置

農業かんがい給水 ヨコタ ミニタンク式自動取水給水装置
神戸市西区神出町 大道池揚水機場‥‥タンクは小さく室内に

神戸地区かんがい整備事業で多数ご採用

神戸市西区から北区に広がる田畑のかんがい整備事業が、1970年代より継続されています。
整備されたほ場では、末端弁を開くと河川又は池の水がパイプラインを通じて供給されます。
蛇口をひねると水道水が出るのと同様で、農業用水の使い勝手が格段に良くなりました。又、農業用水の給水溝の建設と維持管理は不要になり、水資源のロスも極端に少なくなりました。

このパイプライン網の 60ケ所以上の揚水場で使用されているのが「ヨコタ ミニタンク式自動取水給水装置」です。

「ミニタンク式自動取水給水装置」とは、当社が開発した技術で、送水ポンプの「起動」はミニタンクに組み込んだ圧力スイッチが指令し、「停止」は送水管中のチェッキ弁(逆止弁)に組み込んだ無送水検知器が指令する自動運転システムのことです。完全な無人自動運転ができて、まさに「蛇口をひねると水が出る」感覚で河川や池の水が利用できるようになります。


ヨコタ ミニタンク式自動取水給水装置

ヨコタ ミニタンク式自動取水給水装置の特長

圧力タンクが非常に小さくて済む

ポンプの激しい断続運転が起きない

圧力タンクへの空気補給が不要

ポンプの停止時の水撃が起きない

ポンプの自吸性能が優れている

冬期の凍結破裂事故が起きにくい

完全な無人自動運転ができる


従来一般の自動取水給水システムにおいては、大きな圧力タンクを備えていますが、「ヨコタ ミニタンク式自動取水給水装置」は、一般のシステムに比べて、タンクの大きさが十分の1~数十分の1と驚くほど小さく、それにもかかわらず激しい断続運転は無いという、際立った特長があります。非常に省スペースで便利な装置としてご好評をいただいています。

ところで、どうしてそのようなことが可能なのでしょうか? 比較表によってご説明します。

一般の圧力タンク方式との比較
 

一般の圧力タンク方式

ヨコタ ミニタンク方式

仕組み

ポンプの「起動」も「停止」も圧力スイッチから指令

一般の圧力タンク方式 系統図
一般の圧力タンク方式 ポンプ性能曲線

圧力タンクに上限圧力・下限圧力の2つの圧力スイッチを組み込んである。

ポンプの起動は下限圧力スイッチが指令し、停止は上限圧力スイッチが指令する。これによって、常に圧力タンクの内圧力を下限と上限の間に保つ。

作動の順序は、

末端弁を開くとタンクの貯溜水が放出されて内圧力が下がり、下限圧力スイッチが働いてポンプが起動する。

ポンプは送水を始め、タンクの内圧力は上昇し、上限圧力スイッチが働いてポンプが停止する。以後、タンクの内圧力を下限と上限の間に保つようにポンプの起動と停止を繰り返す。

末端弁を絞って行くと、タンクの内圧力が上昇し、上限圧力スイッチが働いてポンプは停止する。


イメージとしては、使用水はタンクから供給し、タンクの貯水量が減るたびにタンクに補充するという「間接フロー」の考え方。
ポンプの「起動」は圧力スイッチから、「停止」は無送水検知器から指令
ヨコタ ミニタンク方式 系統図
ヨコタ ミニタンク方式 ポンプ性能曲線

圧力タンクに下限圧力スイッチのみを組み込み、一方、送水管中の無水撃チェッキ弁に水流の有無を感知する無送水検知器を組み込んである。

ポンプの起動は下限圧力スイッチが指令し、停止は無送水検知器が指令する。

作動の順序は、

末端弁を開くとタンクの貯溜水が放出されて内圧力が下がり、下限圧力スイッチが働いてポンプが起動する。(ここまでは従来方式と同じ)

ポンプは送水を始め、タンクの内圧力は上昇するが、末端弁を絞って流量を極度に減少させない限り停止はしない。

末端弁を絞って行くと、無水撃チェッキ弁は全閉に近づき、無送水検知器が働いてポンプは停止する。


イメージとしては、使用水はポンプで直接供給し、使用が終わればポンプを止めるという簡明な「直接フロー」の考え方。

圧力タンクの大きさ

大きい

圧力という情報を介してポンプを停止させる仕組みであるため、ポンプ締切圧力がタンク上限圧力を充分に上回るよう設定しておかないと、ポンプ停止の歯切れが悪く、いつまでも停止しないという支障を起こしやすい。

又、ポンプの性能劣化や吸込側水位の変動などポンプ運転条件が変動してもポンプが確実に停止するようにするためには、上限圧力設定値を下げておく必要がある。

結果として上限圧力設定値と下限圧力設定値との幅は小さくなり、小型の圧力タンクでは断続運転が激しくなる。

これらの支障を避けるためには、安全をみて圧力タンクを大きくすることとなる。

極めて小さい

圧力という間接的情報を介さずに、無送水検知器が使用水の減少そのものを直接的に感知してポンプを停止させる明解な仕組みであるため、タンク内圧力の変動からもポンプ運転条件の変動からも何ら影響を受けること無く、ポンプは歯切れ良く停止する。

従って、小型の圧力タンクでも激しい断続運転が無く、機器が長持ちする。

原理的にはタンクはどんなに小さくてもよい。実用上、例えば 50L 程度のタンクを設置するとしても、一般方式の十分の1~数十分の1程度の大きさで済むこととなる。

タンク内への空気補給

空気補給が随時必要

タンクが大きいため、給水圧力の維持のためには、空気補給装置を付けるか、あるいは随時コンプレッサーで空気注入をするなどの煩わしい作業が必要となる。

空気補給は不要

タンクが極めて小さいため、標準のゴム製ダイヤフラム(バルーン)をタンクに内蔵させておく程度で十分に用が足りる。
従って、空気の補給の必要が無い

逆止弁

水撃が発生する場合がある

一般のチェッキ弁を組み込んであるため、ポンプ停止時や不時の停電時に水撃の故障が起きやすい。

水撃が発生する心配が無い

ヨコタ無水撃チェッキ弁(特許)の働きにより、ポンプ停止時や不時の停電時に水撃が発生しない。

又、無送水検知器の働きにより、無送水の状態(すなわち水撃の起きない状態)になってからポンプが停止するので、ますます安全である。

揚水ポンプ

堤防越えの吸水配管や運転中の空気の巻き込みの場合に吸水が困難になる

一般のポンプの場合、たとえ呼水装置を付けても、運転中に空気を巻き込むと吸水が中断するなどの問題が残る。
又、堤防越え吸水配管の場合には吸水困難となりやすい。

このような自吸性能不足を補なうために、吸込側にフート弁を取付けるのが一般的である。

しかし、冬期のポンプ停止時には、フート弁があるために吸水配管内に水が滞留し、従って、
凍結による破裂事故が起きやすい。

堤防越えの吸水配管や運転中の空気の巻き込みも大丈夫

ヨコタ自吸渦巻ポンプ(特許)には強力な自吸力があるので、運転中に空気の巻き込みにより吸水中断となっても自動的に復元する。
又、堤防越え吸水配管など、吸込条件の厳しい場合には、抽気ポンプと連動することにより、より安定した自動運転が可能。

このように自吸性能が優れているため、吸込側にフート弁を取付ける必要が無い。
冬期のポンプ停止時には、フート弁が無いため吸水配管内の水は抜けており、従って、
凍結による破裂事故は起きにくい。



自吸渦巻ポンプ(特許)

ケーシングはセミダブルボリュートと空洞受からなるシンプル構造です。片吸込単段ポンプで、広範な仕様にわたって、優秀な揚水性能を示します。

最高負圧は 60~90kPa に達し、抜群の自吸力を発揮します。

低 NPSH です。吸込条件の変動によってキャビテーション状態となっても揚水運転を継続できるので、NPSH に余裕をみる必要がありません。

揚水中に空気の巻き込みや混入があっても問題なく運転を継続できます。

自吸式ポンプ 自吸原理図(特許) UHN

無水撃チェッキ弁(特許)

弁の動きが流れに順応するので、閉鎖遅れがなく、水撃は発生しません。

一枚弁の簡潔な構造で故障がありません。整備費が格段に削減できます。

ポンプ停止後の経過時間と圧力変化
ヨコタ無水撃チェッキ弁
ヨコタ無水撃チェッキ弁

一般のチェッキ弁(逆止弁)
一般のチェッキ弁


ヨコタ ミニタンク式自動取水給水装置のコスト上のメリット

以上よりお分かりのように、ヨコタ ミニタンク式自動取水給水装置は、一般の圧力タンク方式に比べて大幅にコストダウンができます。

設備費が安い ....

タンクが極めて小さくスペースを取りません。

管理費が安い ....

タンクに空気補給の必要がありません。又、ポンプの断続運転が少なく、スイッチ接点その他が長持ちします。

電気代は同じ ....

電気料金は、圧力タンクが大きくても小さくてもほとんど変わりません。圧力タンクが大きいとポンプの停止時間は長いのですが、ポンプ停止中の使用水量は事前に揚水する訳ですから、前に電気を使うか、その都度使うかの違いがあるだけで、合計は同じです。


施工例

ミニタンク式自動運転操作盤

ミニタンク式自動取水給水装置 抽気ポンプ

ミニタンク式自動取水給水装置 陸上ストレーナー及び満水検知器
自動運転操作盤
抽気ポンプ
陸上ストレーナー及び満水検知器


ヨコタ ミニタンク式自動取水給水装置の施工例


1. 自動運転操作盤

2. 自動起動装置及びミニタンク

3. 取水給水ポンプ(主ポンプ)

4.

無送水検知器(自動停止装置)
及び無水撃チェッキ弁

5. 抽気ポンプ
6. 満水検知器
7. 電動弁
8. 陸上ストレーナー
取水給水ポンプ UHN 型

自動起動装置及びミニタンク

無送水検知器(自動停止装置)及び無水撃チェッキ弁
取水給水ポンプ UHN 型
自動起動装置及びミニタンク
無送水検知器(自動停止装置)及び
無水撃チェッキ弁
自動運転手順

末端弁を開くと、ミニタンク内の貯溜水が放出され、圧力低下を感知して圧力スイッチが指令を送り、抽気ポンプが起動する。

吸水配管内の満水を満水検知器が感知すると、第1主ポンプが起動して送水を開始し、抽気ポンプは停止する。

更に水量を必要とする時は、第2主ポンプが起動する。

末端弁を閉じると、無水撃チェッキ弁を通る水量がゼロに近づく。組み込まれた無送水検知器がこれをキャッチし、主ポンプの停止を指令する。


なお、少水量を断続的に使ったり、配管からの漏水がある場合には、ヨコタ ミニタンク式自動取水給水装置といえどもポンプ起動停止回数が増えることになりますのでご注意ください。


納入実績

(財)神戸みのりの公社殿 河川局改良事業 五良田ポンプ施設をはじめ、神戸地区を中心に 61機場、ポンプ台数 104台(1988年~2003年納入)


自吸渦巻ポンプと無水撃チェッキ弁のより詳しい説明については、
 自吸渦巻ポンプ UHN シリーズ
 無水撃チェッキ弁 SL シリーズ
をご覧ください。

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