農業配水の「お悩み」を解決しました‥‥ヨコタの定流量弁「ユニフロー弁」 (PAT.)
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分水工出口と農業用水路
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あらゆる農作物にとって不可欠な水。この水を、必要な時に必要なだけ供給するという重要な役割を果たしているのが、農業かんがいです。
従来からの開水路に加えて、今では、より合理的な水制御と水資源の節約ができるパイプラインかんがいが増えています。
このパイプラインかんがいで、便利な制御弁として続々とご採用頂いているヨコタの定流量弁「ユニフロー弁」をご紹介致します。
農業用水では、ダムや河川から取った水を幹線水路に流し、幹線水路から支線を出して分水し、更に末端の農業用水路に分水して田畑に供給しています。ですから、そのパイプラインの距離たるや相当な長さになりますし、山あり谷ありで標高差もかなりのものになります。
このような条件の中で、全ての田畑に水を公平に、しかも安定して供給するということは大変な事業です。公平に供給するために、各所に「分水工」という施設を作り、ここに流量制御弁を設置して、分水工ごとに決められた量の水を取るようにしています。
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分水口(流量制御弁は地下に設置)
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ところが、従来は、この流量制御弁に良いものがありませんでしたので、各地で分水を巡る「お悩み」が多発していたのです。
例えば、大きなものとして2つだけ挙げますと、
(1)
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水源水位(圧力)の変動や他の分水工の取水による圧力変動があれば、すぐに流量が変化し、設定した流量が確保できない。ひどい時は流量がゼロになることもある。
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(2)
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農業用水は砂やゴミを伴うのが常で、枯葉やビニール、時にはヘビなども流れ込んでくるのですが、従来の自動制御弁では、その細かい構造のためにすぐ詰まってしまう。
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ということで、みなさんの頭を悩ませていたのです。
このような「お悩み」を解決するために開発されたのが、ヨコタ ユニフロー弁だったのです。
まずは、ユニフロー弁の定流量特性をご覧ください。
横軸で1次側(入口側)圧力 P1 と2次側(出口側)圧力 P2 の差圧が変化しても、縦紬の流量比は正確に一定を保っています。
ヨコタ ユニフロ-弁は、この正確な定流量特性に加え、ゴミが詰まりにくく、その上、設定水量も自由に変更でき、水が全く要らないときには締め切ってしまうことさえできる、という芸達者ぶりです。
なぜ、このようなことが可能なのか‥‥その仕組みのご説明の前に、各地で実際どのように使われてきたかについてご紹介します。
開水路へ放流配水するユニフロー弁
最初のユニフロー弁は、1979年に岐阜の水資源開発公団(当時)に納入しました。
この時は、下の写真のように配水管の先端に取り付ける放流型の製品だけで、ダムなどの高所から送られてきた高圧の水を減圧することも兼ねた、定流量を放流する弁として使用されました。
レイアウトは、図のようにコンパクトな作りでしたので、据付けスペースが小さくて済むと、大変好評でした。
開水路へインライン型で配水するユニフロー弁
現在のようなインライン型も加わって、ユニフロー弁のラインナップが完成したのが、1986年でした。
下の写真は、関東農政局の中にある霞ヶ浦用水の分水工内に設置された、口径 400mm のユニフロー弁です。これによって、関東平野の広い農地を潤して、豊かな実りを結ぶためのお手伝いをさせて頂くことになりました。
図のように配水管の中間に設置して、設定流量を配水できるようにしました。
霞ヶ浦用水は茨城県下の広大な農地を潤す設備ですから、数十ヶ所、数百ヶ所の単位で分水工があり、かんがい時期になると一斉に水を取る訳ですが、1次側の圧力がどんなに変わっても、2次側の出口からはきちんと設定した通りの水量を得ることができます。
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地上からハンドルを回せるように
バルブキー(オプション)を
セットしたユニフロー弁
(このほか電動にすることも可能)
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ファームポンド配水でのユニフロー弁
下の写真は、愛媛県のミカン山の頂上に設置されているファームポンド(農業用貯水槽)と、そのファームポンドに分水している、口径 250mm のユニフロー弁です。
山の頂上まで耕されたミカン畑に使う水を、幹線水路から分水してファームポンドに溜めています。以前は、標高差がまちまちの山ごとに、決められた量の水を取り込むのは大変なことでしたが、今は、ユニフロー弁のお陰でそんな苦労は全く無くなりました。
ヨコタ直動式定流量弁「ユニフロー弁」(特許) の特長
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1次側圧力の変動に関係なく、設定した水量が安定して供給できます。
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設定水量はハンドル操作で簡単に変えることができます。(可変定流量式)
又、弁軸にかかる偏荷重を消去する構造になっていますので、ハンドルも極めて軽快に操作でき、特に高齢者の農家の方々に大変好評です。
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水の通路の構造が単純ですから、砂やゴミが詰まることもありません。万一大きなゴミが詰まることがあっても容易に除去できます。
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複雑なパイロット制御部がなく、シンプルな直動式ですから、保守にもほとんど手がかかりません。
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正確な定流量制御ができるのはなぜ?
図によって、水の流れをご説明しましょう。
入口から1次側の水が入ってきて、矢印の流れで出口ヘと出ます。
自動弁体の上下はダイヤフラムで仕切られており、ダイヤフラムの上の部屋は、1次圧力配管によって入口とつながっているので、1次圧力 P1 と同じになります。
一方、ダイヤフラムの下の部屋(中間室)は、絞り流路 A によって入口とつながっているので、1次圧力 P1 よりやや低い圧力 Pd となります。
そうしますと、自動弁体は、圧力差 (P1-Pd) とコイルばねの力とが釣り合う位置まで下がって出口流路 B を調整し、あらかじめ設定していた水量を出口側へ送り出します。
ここが、ユニフロー弁のポイントになるところです。
もし、1次圧力が上がって、入ってくる水の量が増えた場合は、流路 A の通路抵抗が増えて、その分だけ圧力差 (P1-Pd) は大きくなります。そうなりますと、バランスする位置まで再び自動弁体を押し下げる力が働き、出口流路 B を狭め、1次圧力が上がる前の流量と同じ量の水が送り出されることになるのです。
どうです? うまく考えてますでしょう? |
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キャビテーション係数はどう?
キャビテーション係数は流量制御弁の性能の目安になるものですが、ユニフロー弁のキャビテーション係数は 0.24 以下という素晴しい数値です。
図は、他のバルブとキャビテーション係数を比較したものですが、バタフライ弁が1から3で、一般の自動制御弁が 0.5 ですから、ユニフロー弁のキャビテーション特性がいかに優れているかがお分かりでしょう。
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このような構造のユニフロー弁ですから、分水工管理は非常に容易になり、水資源の節約にも役立ち、そして、より良い作物を作ることに専念していただくことができると思います。
この製品のより詳しい説明については、直動式定流量弁 UF シリーズをご覧ください。 |