特集記事

「スラリーの自吸」

発電所のスラリー液自吸の難問を解決‥‥ヨコタ「耐スラリー・耐食・自吸渦巻ポンプ 」(PAT.)
 

火力発電所で稼働中の空気予熱器循環水洗ポンプ

火力発電所で稼働中の空気予熱器循環水洗ポンプ

ポンプにとっての難問‥‥摩耗、腐食、そして自吸

「ポンプを取扱う時のお悩みは何ですか?」とお尋ねすれば、「摩耗」「腐食」「空気混入による揚水中断」を挙げられる方が多いようです。いずれも厄介な、そしてコストにも関わってくる問題です。

「摩耗」は、軸摩耗などもありますが、ポンプの場合に特に問題となるのがスラリー液による摩耗です。「スラリー」とは液中に粒子の混入した状態のことで、その粒子が砂や石灰石など堅いものですと、簡単にポンプの摩耗を引き起こします。

「腐食」で厄介なのは、酸、アルカリ、塩分などを含む液の場合で、簡単にポンプの腐食を引き起こします。

「空気混入による揚水中断」については、ポンプ吸込側にフート弁などを取り付けて呼び水を確保した一般的な「自吸式ポンプ」は数多くあるものの、自吸性能が今一つ不足で、ポンプの運転中に空気を巻き込むと揚水中断を起こすという不安があります。
そのため自吸式をあきらめて、水没型の「水中ポンプ」や「立軸ポンプ」を使った「押込み運転」にするケースも多いのですが、それらは腐食しやすく、水中から引き上げての保守点検が煩雑でコストがかかるなどの別の悩みがあります。

「摩耗」「腐食」「空気混入による揚水中断」、この3つに一度に攻められるとポンプとしては大変です。お手上げ......となりそうなところですが、しかし、実は、この3つを同時に解決して、このような過酷な条件下でも平気で運転できる陸上設置型のポンプがあります。それが「ヨコタ自吸渦巻ポンプ」なのです。

では「ヨコタ自吸渦巻ポンプ」は何が違うのでしょうか?
これらの難しい条件が重なっている現場としては、化学工場、精錬所、排水処理場などありますが、ここでは、典型的な現場として、石炭火力発電所を例にとってご説明しましょう。

 

石炭火力発電所全景

 石炭火力発電所全景


石炭火力発電所を概観すると

日本では、発電に使われるエネルギー源の約 20% は石炭であり、多くの石炭火力発電所が建設・運転されています。
石炭火力発電所では、石炭を微粉炭にして燃やし、ボイラーで高圧の水蒸気を発生させ、これでタービンを回して発電します。

さて、この石炭を燃やした後の排煙ですが、日本の石炭火力発電所では、世界で最も厳しい環境基準のもと、大気汚染防止のための徹底した排煙処理が行われています。
典型的な処理プロセスとして、石炭灰 (フライアッシュ)・窒素酸化物 (NOx)・硫黄酸化物 (SOx) などを含む排煙は、まず電気集塵器に送られて石炭灰の粒子が取り除かれ、続いて、脱硝装置で窒素酸化物が除かれます。
高温の排煙はその後、空気予熱器 (AH=Air Heater) に導かれ、ボイラーに送り込むために取り入れた新鮮な空気と熱交換します。この熱交換によって熱の有効利用がはかられているわけです。
熱を新鮮な空気に移した排煙は、ガス・ガス・ヒーター (GGH=Gas Gas Heater) に導かれ、煙突に送られる排煙と更に熱交換し、その後、脱硫装置に導かれます。
そして、脱硫装置で硫黄酸化物が除かれた排煙が、先ほどのガス・ガス・ヒーターを通って、煙突から排出されます。

 石炭火力発電所における排煙処理プロセス

石炭火力発電所における排煙処理プロセス


空気予熱器とガス・ガス・ヒーターの循環水洗ポンプ

空気予熱器 (AH) には、排煙に含まれる灰・錆などが次第に堆積し、熱効率が下がるので、定期的に内部フィルターの洗浄が必要となります。
ピットに貯えた水を「循環水洗ポンプ」で吸い上げ、加圧して高圧で吹き付け、循環使用するのが一般的な洗浄方法です。フィルター上の堆積物は水に分散してスラリーとなるため、ピットには大きな回転翼が取り付けられ、洗浄作業が終わるまで撹拌が続けられます。
ガス・ガス・ヒーター (GGH) についても、同様の方法で内部フィルターが定期的に水洗されます。

 空気予熱器フィルター洗浄システム

 
空気予熱器
 
ガス・ガス・ヒーター

 空気予熱器フィルター洗浄システム

 空気予熱器

 ガス・ガス・ヒーター



循環水洗ポンプの「お悩み」を解決

このように、空気予熱器 (AH) やガス・ガス・ヒーター (GGH) の循環水洗ポンプには、スラリー液を吸上げて圧送する能力が要求されます。又、特にガス・ガス・ヒーター (GGH) の洗浄液は強い酸性を示すので、ポンプの材質には高い耐食性も要求されます。

ある石炭火力発電所では、1986年までこれらのポンプに従来の立軸ポンプが使われていましたが、次のような悩みを抱えておられました。

ポンプ設備が大きく、設備費が高い。

ポンプが水没型であるためメンテナンスが大変で、費用が高い。

スラリーによるポンプ羽根車やケーシングの摩耗が激しい。又、軸受が摩耗して振動が出る。交換費用もかかる。

ポンプの腐食も激しい。交換費用もかかる。


この石炭火力発電所では、これらの悩みを解決するため、1986年の増設の際に、これらの循環水洗ポンプとして陸上設置・横型ポンプを初めて使用することとなりました。
スラリー液のためフート弁は使えません。従って陸上設置・横型ポンプの場合には、強力な自吸式でなければなりません。そこで、スラリー液を自吸して高圧で圧送できる恐らく唯一のポンプだろうということで、ヨコタ自吸渦巻ポンプ(特許)が選ばれました。

ポンプの設置に際しては、ポンプ停止時の水撃(ウォーターハンマー)を防いで安全揚水をするために、ヨコタ無水撃チェッキ弁(特許)も取り付けました。この無水撃チェッキ弁は、ポンプ停止時の正流から逆流に転ずる瞬間、すなわち管内の流体の停止した瞬間に弁が閉鎖するので、逆流による水撃が発生せず、送水管の破裂やポンプの破損事故を防止できます。
又、材質面では、ヨコタが独自に開発した特殊ステンレス合金で、高耐食・耐摩耗材質として数多くの実績がある YST 合金を使用しました。

その後の営業運転を通して検証した結果、従来の立軸ポンプの時に抱えていた問題がすべて解決されました。そして、設備コストも保守点検コストも大幅に節減できました。

各種ポンプの比較

分類形式

水中ポンプ

立軸ポンプ

ヨコタ自吸渦巻ポンプ

構 造

 

水中ポンプ

 

立軸ポンプ

 

ヨコタ自吸渦巻ポンプ

要部の腐食

水中に設置するため腐食しやすい。

水中に設置するため腐食しやすい。

腐食しにくい。

軸受の保守

水中に軸受があるため保守が困難。

水中に軸受があるため保守が困難。

ボールベアリングで安定しており保守が容易。

保守・点検

ポンプ・モーター共に水中にあるため保守点検が困難。
分解時にポンプ・モーター共に吊リ上げる必要がある。

ポンプが水中にあるため保守点検が困難。
分解時にモーターを移動する必要がある。

陸上設置のため保守点検が容易。
分解時にモーターを移動する必要なし。

設備費

ポンプ・モーター共に高価。

ポンプ・モーター共に高価。

ポンプ・モーター共に安価。


空気予熱器とガス・ガス・ヒーターの循環水洗ポンプシステム
空気予熱器とガス・ガス・ヒーターの循環水洗ポンプシステム
空気予熱器とガス・ガス・ヒーターの循環水洗ポンプシステム
ポンプ:UHN 型 200mm x 5.5m3/min x 75m x 1750min-1 x 120kW

このように、空気予熱器 (AH) 、ガス・ガス・ヒーター (GGH) などでの好成績が認められて、今では、その他の所内設備のポンプ・バルブも含めて、電力各社に数多くの納入実績を持つに至っているのです。


ヨコタ自吸渦巻ポンプ UHN 型(特許)について

ケーシングはセミダブルボリュートと空洞受からなるシンプル構造です。片吸込単段ポンプで、広範な仕様にわたって、優秀な揚水性能を示します。

最高負圧は 60〜90kPa に達し、抜群の自吸力を発揮します。

低 NPSH です。吸込条件の変動によってキャビテーション状態となっても揚水運転を継続できるので、NPSH に余裕をみる必要がありません。

揚水中に空気の巻き込みや混入があっても問題なく運転を継続できます。鳴水運転(水と空気を一緒に吸い続けること)や気液二相運転も楽々とできます。


自吸の仕組み(特許)

1.循環流れ

自吸中にはセミダブルボリュートの通路 A から吐出された水は 通路 B-C を廻って羽根車に戻り、再び通路 A に吐出されます。

2.気泡連れ出し


この循環流は羽根車内の強い溝渦流 D で中央部の空気を気水混合体とし、通路 A に連れ出します。

3.気水分離及び排気


気水混合体は通路 A から吐出ノズル部 B へサイクロン状に導かれて自動的に遠心分離され、水は再び循環流となって B-C に戻ります。そして、遠心分離された空気は空洞受 E で受け止められ、背圧に対して確実に圧縮排気されます。


自吸渦巻ポンプUHN


自吸渦巻ポンプ 自吸原理図(特許)


ヨコタ無水撃チェッキ弁
(特許)について

弁の動きが流れに順応するので、閉鎖遅れがなく、水撃は発生しません。

一枚弁の簡潔な構造で故障がありません。整備費が格段に削減できます。

無送水検知器も取り付け可能です(オプション)。


ポンプ停止後の経過時間と圧力変化
ヨコタ無水撃チェッキ弁 一般のチェッキ弁(逆止弁)
ヨコタ無水撃チェッキ弁 一般のチェッキ弁


YST 合金(ヨコタステンレス合金 YST シリーズ)について

YST シリーズは、ヨコタが独自に開発した特殊ステンレス合金で、高い耐食性と耐摩耗性を兼ね備えた合金として、公害防止設備、海水設備、化学処理設備などの各種装置用ポンプ・バルブ材質に採用され、高い評価を頂いています。
又、この YST シリーズ中の二相ステンレス合金 YST130N は、驚異的な耐海水性、耐薬品性があります。
YST シリーズは、ヨコタが鋳造から社内一貫生産しているので、材質管理・熱処理管理が徹底しています。

YST 合金の特長

耐食性に優れ、特に塩素イオンを含有する環境での局部腐食性に格段の対抗性を示します。

耐食性だけでなく、硬度を高めて更に耐摩耗性を向上させており、耐食性・耐摩耗性の両面をそなえています。

海水環境中で優れた耐隙間腐食性、耐孔食性を示します。

強度は一般 JIS 材質の約2倍と格段に優れています。

被覆アーク、TIG 溶接によって、予熱・後熱の必要もなく容易に溶接することができます。


YST シリーズの耐食性・耐摩耗性

特殊ステンレス 耐食・耐摩耗性

YST シリーズの耐食性・耐摩耗性(5% スラリーによる SUS316 の摩耗量を 100 とした時の割合)

特殊ステンレス 耐摩耗性

YST130N の耐隙間腐食性

隙間腐食による減量
YST130N の耐隙間腐食性

海水+次亜塩素酸 (90-100ppm) 現地実液試験
(試験期間:約1年9ヶ月)

YST130N の耐孔食性

孔食による減量
YST130N の耐孔食性


なお、石炭火力発電所の排煙処理の最終工程には排煙脱硫装置がありますが、そこでもヨコタの YST 合金が活躍しています。

排煙脱硫装置は、排煙中の硫黄酸化物 (SOx) を石灰水と反応させて除去するものですが、この時に生じる石灰石スラリー液を循環(この場合のポンプは非自吸式)させるために、YST 合金製のヨコタ大型斜流ポンプ YM 型が多数使われています。排煙脱硫装置という腐食性・摩耗性の複合した極めて過酷な条件の下で、ヨコタの YST 合金は多くの実績を残しています。

排煙脱硫装置の循環ポンプ YM 型に使われている YST 合金

 排煙脱硫装置の循環ポンプ YM 型に使われている YST 合金



各製品のより詳しい説明については、
 自吸渦巻ポンプ UHN シリーズ
 大型斜流ポンプ YM 型
 無水撃チェッキ弁 SL シリーズ
 特殊ステンレス YST シリーズ
をご覧ください。

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